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建設業
業種は総務省作成の「日本標準産業分類」を参考にしています。
建設業(総合工事業)
【税務調査のPOINT】
①工期が長期になる場合、見積書、契約書等から工事売上の計上時期は大丈夫か。
②原価の管理(配分)は適正か。
➡未完成の工事原価を完成工事原価としていないか
(意図的な原価の付け替えとしてペナルティが課せられる可能性あり)
③労務費については、賃金台帳、出面帳等から架空労務費の有無をチェックされる。
(架空・水増労務費、退職者や親戚名を利用した架空計上はないか)
④追加工事の計上漏れはないか。
⑤残材等の売却収入は計上されているか
⑥外注費については、領収証等により支払先が特定されているか(反面調査あり)
⑦外注先の現場入退社データと作業日報等の照合から架空・水増を検討。
⑧退職者や休職者名を利用し工数等を水増しする手口もある。
不正計算の事例
「投書」の数はナンバー1
例)
「〇〇現場から△△現場へ工事原価の付替えを行っています」
「□□所長は業者からキックバックをもらっている」
「◇◇㈱への支払いは、地元対策費、談合金の支払いを偽装したものだ」
(A)ゼネコンの現場で発注業務を担当していた社員が、下請け業者に代金を水増しして請求させ、その水増部分を自分でもらっていた。そのリベート総額は1億4千万円。
(B)複数の工事現場で支払先と通謀のうえ架空外注費を計上し、支払先からバックさせ捻出した資金は裏金として、工事を円滑に進めるための地元対策費に充てていた。大手ゼネコンは、裏金から支払った地元対策費の支払先を明らかにしなかったため、「使途秘匿金」として支出額の40%を制裁課税された。
(C) 下請けを使った水増外注費。作業工数を水増ししたり、製造原価の付け替えによる利益調整を行っていたが、下請けの入退社データから作業工数を確認し不正が発覚した。
(D) JVの幹事会社(スポンサー)は、大量の資材の発注やJV事務を行った際に生じる仕入値引き等を「手間賃」の意味合いで受け取ることがあるが(スポンサーメリット)、当該収入を申告していなかった。
(E) 工事経費の中に課税対象の交際費となる地元対策費(工事現場周辺の周辺の企業に対して支出していた)を計上していた。また、公共工事の入札に絡み支払った談合の「降り賃」を工事原価に計上していた。
(F) 高速道路会社は、複数のコンサルタント会社に外注した道路設計調査費について、納品書の日付を改ざんしたうえで、年度内の経費として付け込みを行った。
(G) 大手ゼネコンは、海外の高速道路建設工事に関連する業務委託費として海外のコンサルタント会社に5億円の業務委託費を支払っていたが、業務実態はなく、実際は現地対策費として使っていた。損金不算入の交際費を業務委託費として仮装したものと認定されている。
(H) 大手ゼネコンの社員が協力業者(外注先)に工事代金を水増請求させ、裏でキックバックさせて着服していた事実を税務調査で発見。従業員の不正行為だが大阪国税局は法人の不正行為と認定、法人もこれを認め修正申告を行った。
架空計上の会社への課税は可能だが、架空計上により捻出した不正資金の還流先を特定することは困難を極めている。
何社も下請会社をかませたうえ、最終的には無申告法人、ペーパー法人や実在しない個人への支払いに帰結し、国税の全情報力をもってしても、最終的な資金の享受者への課税はほとんどできていない。
多額の不正資金は、決して表にはできない地元有力者、フィクサー、政治家へ・・・
職別工事
建設業(職別工事業)
【税務調査のPOINT】
①小口現金売上は、適正に計上されているか。
②原価の管理(配分)は適正か。
➡未完成の工事原価を完成工事原価としていないか
(意図的な原価の付け替えとしてペナルティが課せられる可能性あり)
③労務費については、賃金台帳、出面帳等からチェックされる。
④追加工事の計上漏れはないか。
⑤外注費については、領収証等により支払先が特定されているか(反面調査あり)
不正の事例
(A)太陽光発電設備事業者は、決算期末において未完成の工事に係る材料費や外注費(未完成工事はまだ売上が計上されないことから、対応する原価についても棚卸となり経費に計上できません)を、既に完成していた工事に係る原価に偽装して経費計上することで、所得を圧縮していた。具体的な偽装の方法としては、工事名を書き換える、原価を複数の現場名に分散させる、商品名を書き換えるなどがあります。
(B)プラント工事を巡り設計業務を第三国の建設会社に発注したが、建設会社に業務実態はなく、当該設計費は経費と認められず、全額損金不算入の「交際費」と認定された。
設備工事
建設業(設備工事業)
【税務調査のPOINT】
①長期工事の売上計上時期は適正か。
②原価の管理(配分)は適正か。
➡未完成の工事原価を完成工事原価としていないか
(意図的な原価の付け替えとしてペナルティが課せられる可能性あり)
③労務費については、賃金台帳、出面帳等から架空労務費の有無をチェックされる。
④追加工事の計上漏れはないか。
⑤外注費については、領収証等により支払先が特定されているか(反面調査あり)
⑥スクラップの売却収入の計上は適正か。
(不正の事例)
(A)得意先への受注謝礼金、現場監督者への家電などの贈答、あるいは高級クラブでの接待のための資金を捻出するため、外注費を水増し計上したり、贈答品である高級家電製品を売上原価(例えば材料費など)に仮装したりして、裏金を作っていたもの。
(B)下請け業者に工事費を水増し発注した上、その水増部分を業者側から現金でバックさせていた。それによりねん出した裏金は社長個人で保管、あるいは株式や不動産投資に充てたりしていた。脱税額は1億5千万円。
(C)海外子会社から原材料を仕入れる際、不自然かつ不当に高く仕入れていたため、相場価格との差額を子会社に対する支援金だとして課税対象とされる寄附金と認定した。
製造業
製造業
【税務調査のPOINT】
①原価率にイレギュラーはないか。月別、年別の変遷はある程度一定しているか。
②在庫の異常数値はないか。
③返品の処理は適正か。
④積送品や預け在庫の計上もれはないか。
⑤現金仕入れ、単発仕入、遠隔地仕入に架空仕入れはないか。
⑥翌期首に取得した機械設備の取得時期を当期に繰り上げていないか。
⑦代表者親族に支払った労務費は追及される。
⑧工場や倉庫、仕入先への預け在庫の棚卸への計上は適正か
⑨加工くずの売却はあるか
⑩自動販売機売上は計上されているか
不正の事例
(大手電機)
(A)発注担当者である従業員は、得意先から受注したシステム保守業務の一部を従業員自らが支配する会社に架空発注を繰り返し、代金を振り込ませた後、自らの口座に還流させ、不正蓄財を図っていた。東京国税局の税務調査で発覚した。
(B)海外事業撤退損を計上していたが、国税局は、海外長期出張者からの情報、ダンレポなどの情報を収集し多角的に検討し架空の事業撤退損を把握した。
(C)中堅AV機器メーカーO社は、タイの製造子会社で製造したAV機器等の利益を香港のペーパーカンパニーに付け替えていた。租税回避地の香港では、海外所得の課税はない。香港子会社とO社との間に資本関係はないが、国税局はO社が実質的に管理するペーパーカンパニーと認定し、香港会社へのプール金に全額課税した。
(D)大手電機防衛部門、防衛部門と関係ない従業員の作業実績を防衛装備品の設計に従事した作業実績として不正に付け替えを行った。防衛装備品契約では業者側が製造に要する作業量や作業時間等を算出し契約額を決める。水増しによる税金の横領ともいえる。一般部門の未完成原価を防衛原価に付け込んだのであれば、脱税の疑いもある行為だ。
(半導体機器開発ベンチャー)
架空開発委託料により捻出した簿外資金を社長名義のスイスや米国の口座に送金し蓄財。その資金で海外で投資を行ったり、米国で不動産を購入していた。
卸売
卸売業
【税務調査のPOINT】
①取扱商品及び販売ルートごとの利益率にイレギュラーはないか。
②ブローカー仕入(現金仕入れ)はないか。
③販売リベートの計上漏れはないか。
④返品商品、営業所在庫、仕入先への預け在庫の計上は適正か。
⑤現金仕入れ、単発仕入、遠隔地仕入に架空仕入れはないか。
⑥意図的に売上集計を間違えていないか。
(美容研究家経営の化粧品卸販売会社)
広告会社と通謀し販売促進費を水増ししたり、架空外注費を計上して脱税していた。
小売
小売業
【税務調査のPOINT】
①売上金の管理状況は適正か(現金売上が漏れる余地はあるか)
②現金商売は、特に代表者の生活状況も調査される。
(個人資産の増減、生活費の捻出と法人売上のバランス等)
③閉店間際の売上は特にチェックされる(レジの締め後の売上は要注意)。
④自動販売機売上は適正か。
⑤代表者の自家消費もチェックされる。
⑥展示会、外交売り、バーゲン、ワゴンセールの売上は適正か。
⑦特定商品(高額、ブランド)の商品の流れについては、サンプル調査がある。
⑧税務職員は客を装って商品を購入し、その売上計上の有無をチェックする。
⑨固定客の掛売を丸ごと抜いていないか。
⑩同業者と比較して粗利は適正範囲内か。
⑪アルバイトの水増、架空はいないか。
⑫現金仕入れ、単発仕入、遠隔地仕入に架空仕入れはないか。
不正の事例
(A)スーパの役員が、複数の知人から名義を借り店舗で働いているように偽装し給料を支払い、また、実際には仕事を依頼していない運送業者に架空の外注費を支払ったうえで、その給料及び外注費を自分の口座にバックさせ裏金を作り遊興費に使っていた。従業員の不正は、会社にとって損失であり、横領損失と同時に従業員に対する損害賠償請求権を発生させるため直接的な追徴税額は出ませんが、役員の不正の場合には国税局はイコール会社の不正と認定するケースが多くみられます。
(B)自動車用品販売大手E社は、カー用品販売子会社に商品を卸す際に取引額に応じてリベートを支払っているが、事前に契約していないもの及びすでに終わったキャンペーンに係る値引きに仮装して支払ったものについて否認され、子会社に対する寄付金として課税された。
運輸
運輸業
【税務調査のPOINT】
①運転手の勤務スケジュール、運転日報、配車スケジュール等と売上の整合性は適正化
②燃料、タイヤの消耗から売り上げを推計される。
③タクシー、ハイヤーの場合、お得意先からのリベート収入の有無をチェックされる。
④車両の台数は公表上の台数と一致するか(簿外の車両の売上を除外)。
⑤新車購入、保険リベート等の計上は適正か。
飲食
飲食サービス業
【税務調査のPOINT】
①実地調査前に複数回、税務職員は客を装う。
②閉店間際の売上、ランチ売上の計上は適正か。
③宴会、出前売上は適正か。
④麺類は、粉の使用料から売り上げを推計する。
⑤お酒の簿外仕入の有無もチェックされる。
⑥ホステスへの支払は実地反面される。
⑦売上金の管理状況しだいでは、売上を推計される。
⑧代表者の生活状況と申告内容はバランスがとれているか。
(バー、クラブの不正発見割合はいつの時代も他業種と比べ高止まり)
税務調査を行うと6~7割の確率で脱税が見つかっている。
ホステス移籍金、移籍時の精算の回収と資金提供、ホステスへの罰金や費用の天引き金などの税務処理の適否
(銀座ママ1億超の源泉所得税を流用)
ホステスに支払報酬から天引きした源泉所得税1億円超を国に納めず流用していた。売り上げトップのホステスの報酬は月200万円超。多数の固定客を持つ売れっ子ホステスには1000万円ほどの契約金を支払う例もある。こうしたホステスへの報酬から源泉徴収した税金を一部流用していた。
その他
【現金の管理がキモ】
①無予告で調査が実施され、その日の現金残高と帳簿の記載状況をチェック
たまたま前日の売上について、売上計上などの帳簿記載がされてれいればいいのですが、実際は、週間ごととか一月分をまとめて記帳するなどの店舗も少なくありません。その場合でも、税務署は容赦ありませんから、記帳不備という弱みを執拗に指摘し、なんとか追加課税にもっていくことでしょう。
これに対処するには、日々きっちりと現金を管理していくほかありません。
順調な経営のためにも、また黒字倒産に陥らないためにも必ず必要なことですので、めんどくさがらずに取り組んでいくことが大切です。
〇釣銭用の「レジ現金」、お客様から頂いた「売上現金」、ちょっとしたお店の経費に使う「小口現金」この3つを分けることから始めましょう。
売上レシート、経費の領収書などとの照合も楽になります。
その他のサービス業
【税務調査のPOINT】
その他のサービス業なので職種は様々です。
順次、掲載していきます。
不正の事例
(不動産業)
〇投資用マンション販売会社A社は、知り合いが経営する会社に偽の請求書を作成させ、架空の業務委託料を計上し3年間で2億4000万円の所得を隠していた。
〇某自衛隊演習場土地の賃貸料収入のある社団法人は、架空経費を計上し一部を会員に現金を還流させ、また、会員らで出資し設立した会社に対する水増外注費を計上し、不正資金を捻出していた。
〇グループ会社を利用し建築資材の仕入れや土地購入手数料などを架空計上し経費を水増ししていた。
〇実体のない仲介手数料を計上した。支払先を明らかにしない支出であり「使途秘匿金」と認定された。
使途秘匿金には40%の制裁課税が課される。
〇賃貸アパート大手L社は、オーナーを海外リゾート施設に無料招待し、その旅費、滞在費、食事代まで提供していた。家族分も負担していたことから、取引先等への接待に当たるとして損金不算入の交際費と認定した。
(セミナー収入)
人材能力開発会社の脱税。
自己啓発セミナーの受講料を代表者の個人預金に入金し法人の売上約1億4千万円を除外していた。
代表者は講演を行い自己啓発本も出版している。セミナー受講料は1人20万円(全5回)。
(イベント業)
やってもいない架空イベントでタレントにプロモーション協力費を支払ったように偽の領収証を作成、また、懇意の取引先に協力してもらい架空外注費を計上して捻出した裏金を個人の株の投資に充てていた。
(テレビ番概制作会社)
〇決算に際しいったん正しい利益を試算後、架空経費の計上額を決定する。不正の手口は、社外のディレクターに偽の請求書等を作成させ、仮名口座であるディレクター名義の銀行口座に脱税でねん出した資金をプールしていた。
〇テレビ局の報道局は、白紙の領収証などを使って取引先を接待したかのように装い会社に経費を不正請求し、私的な飲食代などに使っていた。
(某財団法人スポーツ連盟)
架空の支払い伝票を使い、財団の口座から不正に資金を引き出し、また、取引先の旅行会社に対し旅行代金を水増し請求させたうえ現金をキックバックさせる手口で裏金を捻出し、複数の理事の私的な蓄財に充てていた。
(大相撲の横綱A)
テレビ番組やCMの出演料の一部を申告していなかった。新聞報道によると申告漏れは1億円。
(人気漫画家)
漫画製作アシスタントの人数を水増しし、架空人件費を計上していた。
(子供芸能プロダクション)
会社の収入のほとんどは、街頭でスカウトした親子から徴収する登録料と写真撮影料。この収入の一部を除外していた。ちなみに、子どもの登録は2万人で、仕事が発生する確率は約2割だった。
(有名歌舞伎役者)
某代目襲名披露で受け取った祝儀を申告していなかった。
(国交省所管の社団法人)
社団を退職した職員の天下り企業に対し、架空発注を繰り返し、「ヤミ給与」を提供していた。
(映画企画会社)
海外の興行収入を簿外口座にプールし脱税していた。
(医療グループT会)
病院建設を巡りゼネコン側から受け取った多額のリベートを脱税し裏金としてプールし、その一部を理事長や親族の株取引に充てていた。
(空調機器専門商社)
取引業者への水増し発注、商品の無断転売、架空発注、エアコンの社員自己使用などの不正取引に外部業者50社以上が協力していた。不正取引により業者から還流された資金は、簿外交際費や社員同士の飲み会に充てられていた。
(大手保険代理店A窓口社)
実体のない販売奨励金名目で資金を子会社に提供していた。また、勤務実態のない社長の妻に対し多額の給料を支払っていた。
(コンサートグッズ企画制作会社)
架空製作費や親族への架空給与で裏金を捻出し取締役の個人預金や投資などに充てられていた。
(葬儀会社、僧侶派遣会社)
施主から葬儀を依頼された葬儀会社が僧侶派遣会社に対し僧侶の派遣を依頼。僧侶は葬儀で施主から「お布施」を受け取ると、その一部を仲介手数料として僧侶派遣会社にバック、僧侶派遣会社はその一部を仲介手数料やリベートとして葬儀社にバックしていた。バックの相場ははお布施の3割ほどという。このキックバックされた金額を収入に計上せず除外していた。
(新選組ゆかりの老舗菓子店)
「壬生屯所旧跡」として茶菓子込みで一人1000円の拝観料収入の一部を除外し簿外で修繕費等に充てていた。
(財団法人某協会を巡る背任事件に絡み)
元理事長とその親族の関係企業(その収入のほとんどは協会からの業務委託費)は、架空経費や架空人件費を計上することで裏金を捻出し理事長とその親族の個人的な株投資資金や住宅、高級外車、クルーザー等の購入に充てていた。
(携帯クリック広告会社)
業務実態のない会社に対する業務委託費を計上し捻出した裏金を銀行の貸金庫でプールし、その一部を役員からの借入金として会社運転資金として還流させていた。
(検索エンジン最適化会社)
社長が出資する別のIT会社への架空業務委託費、売上の除外、業務実態のない香港、北京の法人への架空委託費により裏金を捻出。裏金は、社長口座に送金したり、社長関係者が現金を国内に持ち込んだりして蓄財。個人的な不動産購入に充てていた。
(不動産会社)
所有ビルの売却代金の一部を除外。また、社長の愛人が代表を務める海外法人に架空の立退き交渉委託料を支払い脱税した。
(マルチのカリスマ)
マルチ商法により自動的に入る収入を除外し、隠した所得は高級外車の購入等に充てていた。
(広告代理店)
金券ショップで広告宣伝や交際費のために金券を購入したと偽り、捻出した裏金を社長の愛人に渡していた。
(オークション会社)
美術品のオークションを運営。落札額の一定割合を手数料として受け取っている。一部の名前を出したくない出品者については、ある特定の名義で出品させ、通常の手数料のほか名義貸し料も受け取っていた。この名義料収入を除外していた。
(出会い系サイト)
客の女性を装うサクラを使った出会い系サイトを運営し多額の利用料を得ていたが、ダミー会社に架空の経費を支払現金をバックさせ、社長個人遊興費に充てていた。
グループ
(オーケストラ演奏家派遣会社)
オーケストラに演奏家を派遣して手数料を稼いでいた会社が全く申告せず1億数千万円所得をごまかしの脱税で東京国税局に告発された。忙しくて経理に手が回らずどんぶり勘定になっていたことが原因としている。
(終活をビジネス 一般社団法人の脱税)
高齢者を対象に病院や福祉施設等を利用する際の身元保証や死後の葬儀及び財産整理を手掛けていた一般社団法人が、死亡した利用者から贈与を受けていた財産を別口座でプールし脱税していた。
グループ会社
【税務調査のPOINT】
不正の事例
(ペーパー法人を活用)
数社のペーパー法人を取引に介在し利益の付け替えを行った。
消費税
消費税調査
【税務調査のPOINT】
消費税の還付申告は要注意!
毎年、税務調査の重点調査項目に掲げ、不正還付の把握に力を入れています。
適正に申告していても還付申告はその内容を厳しくチェックされますので、調査ターゲットとなる可能性が高くなり、事業者にとっては大きいストレスとなることでしょう。
売上の際に受け取る消費税よりも支払の際に支払った消費税が多かった場合、申告により差額分の消費税還付を受けることができます。
例えば、多額の仕入れ等が先行し、対応する売り上げが少ない申告期間、輸出売上が多い事業者、工場や機械など多額の設備投資を行った申告期間などの場合に還付申告となります。
この消費税の還付制度を悪用し虚偽申告により還付金をだまし取る事業者が後を絶たないことから、国税当局は消費税の還付申告について特に厳しく審査や実地調査を行っています。
過去の事例でも消費税の増税時期に合わせて不正還付も増加する傾向になっていますので、2017年4月に消費税が10%に上がれば、不正のうまみも出てくるため悪質な事例も増えてくることが予想されています。
調査事例
架空の売上を計上する➡課税売上割合を95%以上に仮装する➡消費税の不正還付をうける
(輸出免税制度を悪用)
国内で仕入れた商品を輸出する場合、国内仕入れに係る消費税は全額還付されます。この制度を悪用し、実際は、高級宝飾品を海外の裏倉庫に移動させただけだったが、ダミー会社を使い輸出売上を行ったように取引を偽装し、不正に消費税の還付を受けていた。
〇名古屋市中区の時計販売会社の場合
日本で仕入れた高級腕時計を香港の関係会社へ輸出したとして、仕入の際に支払った消費税の還付を受けていたが、実際は、香港現地では販売せず、密輸入で日本に戻していた。不正還付額は約6億円。
*銀行預金などの「たまり」から足がつきマルサの目に留まったか、密輸入の税関情報が不正把握の端緒か。
(人材派遣業)
自分の会社の従業員100人超を取引先へ派遣していたが、事態のないダミー会社を数社設立し、そのダミー会社へ派遣業務を外注したように偽装することで、多額の消費税を脱税していた。
ポイント
①従業員給与は消費税の仕入税額控除の対象ではないが、外注費は仕入税額控除が可能となるため、仮装した外注費に係る消費税相当分を免れていた。
②ダミー会社は、資本金1000万円未満で設立後、消費税免税期間である2年で開廃業を繰り返し消費税を免れていた。
(低料金理容業者)
2年ごとに新設法人を設立し、その新会社に営業権を譲渡して、消費税の納税義務を免れていた。国税局は新設法人を新設法人の免税制度を悪用し消費税を免れるためのダミー会社と認定したうえで、営業譲渡を無かったものとして告発した。
NHK消費税13億円申告漏れ(H20.5.28日経新聞)
NHKは視聴者から徴収できなかった受信料について貸倒処理をし消費税を減額していた。貸倒処理をするには受信料を滞納してから一定期間を過ぎなければならないが、要件を満たしていないとして否認されたもの。特殊法人のNHKに法人税の納税義務はないが消費税の納税義務はある。NHKは、不祥事続きで受信料の支払い拒否も相次いでいた。未収金を減らす意図があったわけではないとしている。
(架空売り上げで消費税不正還付)
マンション購入時に払った消費税の還付を受けるため、課税売上割合を悪用し、課税対象となる車の販売があったように装うことで不正に消費税還付を受けた。
(架空仕入れ、架空輸出で消費税不正還付)
中古の釣り具を仕入れて海外に輸出したとして消費税額2200万円の不正還付を受けていた。仕入れも売り上げも架空で全く取引しておらず、受け取った還付金で生活をしていた。領収証を税務署に提出する必要もなく簡単に還付を受けられたためやったと供述。告発された。
(免税店~金工芸品の循環取引で消費税不正還付摘発)
免税店が国内の業者から仕入れた商品には消費税が上乗せされるが、それを訪日外国人等に免税販売した場合、消費税は免税となる。免税店は税務署に申告することで仕入時に支払った消費税分の還付を受けることができる。
某免税店は、自分の関連会社から金工芸品を仕入れ、訪日外国人らに販売したように装い(実際は販売せず)、仕入先に再び買い戻させていたいわゆる「循環取引」により消費税の還付金を不正に受けていた。
金地金は従来免税対象とされていた。しかし、訪日外国人らが免税で購入した後に日本で転売することで、仕入れにかかる消費税を免れているケースが相次いだことから、2016年4月免税対象から外された。
一方金を加工した工芸品は相変わらず免税対象とされていたため、これを消費税不正還付スキームに利用した事例。
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