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高すぎる役員退職金


 人気泡盛を製造販売する沖縄の酒造会社が創業者への退職金が高すぎるとして国税当局から追徴されていた事案で東京地裁は平成28年4月22日、創業者への退職金は不相当に高いとは言えないとし、課税処分の取り消しを命じた。

 法人税法上、役員報酬や役員退職金については、恣意性が入る余地が高いことを理由に、同業他社と比較したうえで不相当に高いと認められる部分については経費と認めないとしている。

 しかし、東京地裁は、創業者のこれまでの会社の経営や成長に貢献を考慮すれば、同業他社の最高額を超えない限り高すぎないとして同社の主張を認めている。国税当局も慎重かつ勝てるように、また、必ず勝つために有利なように国税自ら同業他社を選定したうえで、更正もし、訴訟にも臨んだはずであるが、結果負けてしまっている。

 この訴訟では、役員退職金のほかに、役員報酬についても「高すぎる」として更正し追徴しているが、この役員報酬については「同業他社の最高額を超える分は高すぎるでしょう」として国の主張が認められていることからすると、「痛み分け」判決のような感じがしないわけでもない。

 同業他社を選ぶのは国税であり、その選定次第で判決に重大な影響が出ることからすると、国税当局の同業他社の選定過程をより明らかにすることも、納税者側からは求めたいところではある。


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