新聞の報道によると、厚生年金の加入逃れの疑いがある事業者は全国で79万社あるそうです。
厚生年金や健康保険は、法人と従業員5人以上の個人事業主に加入の義務があります。支払う保険料は労使で50%、50%となっていますので、資金繰りが厳しい中小の事業者には大変な負担になっていることは事実でしょう。
平均的な会社員の厚生年金保険料は一月約4万~ぐらい、しかし、未加入であれば、天引きされないので0円。この差は大きいですよね。自ら国民年金に加入した場合は一月1万5千円~ぐらい。
手取を重視する従業員もいますので、労使の思惑の一致をいいことに、未加入のまま放置している事業者も多いのが現状です。
しかし、従業員にしてみれば、今支払う保険料の差は、老後に受け取る年金の差となります。未加入のままの従業員は約200万人にのぼるそうです。
保険料を徴収している日本年機構では、2016年4月から企業版マイナンバーである「法人番号」を活用し、2017年度末までにすべての未加入企業を特定することとしています。
悪質な事業者には、立ち入り検査を実施後強制加入させる方針です。
日本年金機構に情報を提供するのは、国税庁です。法人情報、従業員の「源泉徴収票」の情報などを提供します。
日本年金機構では、国税庁から提供された情報を活用し、保険料の支払い実績と照合し、未加入企業をあぶりだすというわけです。
従来は、未加入事業者が設立や廃業を繰り返したり、短期間で引っ越したり、同じ屋号、同じ法人名だったりで、事業者の特定に苦労していました。マイナンバー制度の導入により、一法人一つの番号である法人番号や個人事業者であればマイナンバーをうまく活用することで、同名の事業者など、特定が難しく、紛らわしいケースにおいて、効率よく加入逃れ事業者を特定することが容易になります。
日本年金機構では、マイナンバー制度導入に先立ち、実は、加入漏れの特定を2014年11月から実施しています。情報も国税庁から提供し、約79万社はリスト化しているそうです。
マイナンバー導入で「もう逃げられない」と観念し、自ら加入を申し出た企業もあるようです。
未加入事業者のあぶり出しと強制加入には、行政側の慎重な対応が求められます。
支払保険料の負担増に耐え切れない”マイナンバー倒産”が出てくることでしょう。
未加入を放置することもできません。正直に加入している企業との公平感を欠きますし、会社員の老後の問題、そもそもの年金制度の維持など問題は山積みなのです。
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