平成29年度税制改正のポイント

平成29年8月7日、藤沢法人会で行った「平成29年度改正税法説明会」の講演内容です。

講演にあたっては、主催者である藤沢法人会指定の冊子「ことしの税制改正のポイント平成29年度(清文社)」を使用し、当資料にも多くを引用しています。

その他参考文献

「平成29年度税制改正の概要について 中小企業庁」から一部引用

 

この資料には、私見も多く記載されていますので、ご了承ください。

コンテンツ

(目次)

税制改正の流れ... 3

改正前があっての改正.. 3

「働き方改革」と「イノベーション」という言葉が出てきています。... 3

結局、自分にとって、減税なの増税なのか... 3

法人関係... 4

研究開発税制等の見直し... 4

改正前の研究開発税制の概要... 5

改正の概要... 6

改正前の控除率の仕組みが左側です。... 6

【改正の影響】... 7

2賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し.. 7

(1)所得拡大促進税制の概要.. 7

(2)改正の概要.. 7

〇中小企業については、26ページでをご覧ください。... 7

【影響】... 7

3コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備.. 8

(1)確定申告書の提出期限の延長の特例の見直し... 8

(2)役員給与の見直し... 8

(3)組織再編税制等の見直し.. 10

4中堅・中小事業者の支援.. 10

(1)地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制の創設).. 10

(2)中小企業向け設備投資促進税制の拡充.. 11

(5)中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限延長.. 12

(6)中小企業の生産性向上のための固定資産税の特例の拡充.. 13

5円滑・適正な納税のための環境整備... 13

Ⅱ個人に係る税制改正のポイント... 14

1配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し... 14

2積立NISAの創設等... 17

3その他... 18

(1)税務署への届け出の見直し... 18

(2)医療費控除等の確定申告添付書類の見直し.. 19

Ⅲ土地・住宅に係る税制改正のポイント.. 19

1既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充... 19

2居住用超高層建築物に係る課税の見直し... 20

3登録免許税の軽減措置の適用期限延長.. 22

4事業用資産の買換えの場合の特例の見直しと延長... 23

5サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る措置の見直し... 23

6広大地の評価の見直し47ページ... 23

Ⅳ相続・贈与に係る税制改正のポイント.. 23

1事業承継促進のための税制措置の強化等... 24

(1)取引相場のない株式の評価の見直し... 24

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し.. 24

贈与税納税猶予取消時の負担軽減措置(相続時精算課税制度との併用).. 25

相続税・贈与税の納税義務の見直し.. 26

3株式保有特定会社の判定基準の見直し.. 28

4相続税の物納に充てることができる財産の順位の見直し.. 28

Ⅴ国際的な税制改正のポイント.. 28

1外国子会社合算税制等の総合的な見直し... 28

(1)内国法人等の所得とみなされる範囲の見直し... 29

2非永住者の課税所得の範囲の見直し... 30

Ⅵその他の税制改正のポイント.. 31

1酒税改革... 31

(1)訪日外国人旅行者等向けに製造場で販売した酒類に係る酒税の免税制度の創設.. 31

(2)税率構造及び酒類の定義の見直し.. 31

2仮装通貨に係る課税関係の見直し.. 32

3車体課税の見直し... 32

4災害関連税制... 32

5国税犯則調査手続きの見直し.. 32

6その他... 32

まとめ... 33

 

平成29年8月7日、藤沢法人会で行った「平成29年度改正税法説明会」の講演内容です。

講演にあたっては、主催者である藤沢法人会指定の冊子「ことしの税制改正のポイント平成29年度(清文社)」を使用し、当資料にも多くを引用している。

その他参考文献

「平成29年度税制改正の概要について 中小企業庁」から一部引用

 

この資料には、私見も多く記載されていますので、ご了承ください。

税制改正の流れ

①毎年夏ごろに各省庁が要望(各業界の陳情や希望要望を反映したもの)を公表し、

②9~11月頃、政府税制調査会(有識者が中心となり中長期的な税制の在り方を議論)が具体的検討に入ります。

③12月中旬には大枠が固まり、年内に財務省と総務省で「改正の概要」を取りまとめます。

⑤年明け1月に「閣議決定」、2月に「国会提出」、3月に衆参両院の各委員会で「採択」され、

⑥年度末までに成立するという流れ

➡その後、7~8月頃にかけて、セミナーや研修会等で勉強し実務に繋げていくことになる。

 

改正前があっての改正

新しい制度の導入は別ですが、税制改正というのは、もともとの改正前の制度を知らないと、なかなか頭に入ってきづらくピンとこないもの。

今回の改正もボリュームがありますし、全部を理解しようとしたら疲れてしょうがないので、これは、自分に関係ありそうだと思ったポイントをチェックしておけば大丈夫。

 

「働き方改革」と「イノベーション」という言葉が出てきています。

 

〇平成29年度税制改正は、人口減少、少子高齢化といった我が国の構造的な問題への対応が重視されており、日本全体の成長力底上げのための「働き方改革」と「イノベーション(技術革新)」がその両輪として位置づけられています。

 

〇いわゆるアベノミクスが掲げる「一億総活躍社会」の両輪ということ

(子育てや介護への不安をなくし、女性や若者の活躍を進めることで少子高齢化に歯止めをかける・・・。「老若男女、働け!」老人はもともと働きますから、若者や女性にもっと働いてもらおうということでしょうか)

その実現に向けた両輪として、税制改正のテーマとしても位置付けています。

 

結局、自分にとって、減税なの増税なのか

朗報といえる「減税」はどれでしょう。

・配偶者控除

・積立NISAの創設

・居住者用超高層建築物(タワーマンション)の低層階の人

・非上場株式の評価方法の見直し

 

制度が使いやすくなったという意味では

事業承継(相続時精算課税制度を贈与税の納税の猶予対象に加える)

逆に悲報「増税」となったのは、

・全体的に大企業には増税

・お金持ち、いわゆる富裕層、大企業、租税回避の恐れのある部分に課税強化

・配偶者控除に所得制限が加わった(世帯主の給与1120万円超で増税)

 

 

法人関係

研究開発税制等の見直し

研究開発税制について総額型の控除率が試験研究費の増減に応じたものとされました。

また、IOT、ビッグデータ、人工知能等を活用した「第四次産業革命」による新たなビジネス開発を後押しする観点から、研究開発税制の対象に、「第四次産業革命型」のサービス開発のための試験研究にかかる一定の費用が新たに追加されました。

 

〇政府が掲げる「名目GDP600兆円経済」、アベノミクスを実現するためには、企業にたくさん研究開発をしてもらい、より付加価値の高い新たな財、サービスを生み出していくことが重要であるということで、税金を優遇しますので、研究開発にどんどん投資して国際的な競争力をつけていきましょうという制度です

 

〇要するにたくさん試験研究費を使えば、税金をおまけしますよということですが、そもそもここでいうところの「試験研究費」とは何かが問題となる。

 

〇試験研究費の定義があります。

「新たな製品の製造又は新たな技術の改良、考案若しくは発明に係る費用を試験研究費といいます。」

メーカーや製薬会社等が何年もかけて自社研究や、大学や他の企業等と共同研究を重ねて行うようなことが想定されているものです。

この定義に改正後は、IOT(インターネットオブスィンク、モノのインターネット化)、ビッグデータ、AIなどの第4次産業革命型のサービス開発を加えました。

 

〇改正前は、試験研究費の定義上、「モノ作り」「技術の発明」に限られていたものが、改正後は、次のイロハニが追加されました。

イ)大量の情報を収集する機能を有し、その全部又は主要な部分が自動化されている機器

ロ)これにより蓄積された情報に基づき、一定の法則の発見、

ハ)これをさらに分析して、新たなサービスの発見に結び付け

ニ)ハの発見をサービスに具体化していく。

 

《参考》

〇IOTとは、internet of things あらゆるモノがインターネットにつながり、新たな付加価値を生むというもの。家電は全般的です。外にいながら、ルンバで掃除させ、テレビ録画を忘れたらセットし、帰りの時間に合わせて、ポットのお湯を沸かしたり、エアコンつけて、お風呂沸かしたり全部外出先からスマホ一つでできちゃう。車の自動運転もそうです。

 

〇ビッグデータとは、情報通信技術の進展により可能になった多種多量のデータを新たなサービスの発見、開発に活用しましょう。

みんながスマホを持つことで、人々の行動パターンが読める。スイカでも同じ。クレジットも同じ。年齢、性別、住んでる地域、購買状況などのデータを活用しましょうということ。広くマーケティング等に利用されている。

コンビニの商品、陳列の仕方、人の動きが読めるので、店舗出店、タクシーの配車、

 

〇AI、人工知能のこと。ロボットですね。ルンバはそうです。囲碁や先日の藤井壮太四段の連勝記録の解説でもつかわれた将棋ソフトもそうです。国税の調査もAIの活用を本気で考えているようです。会社の会計システム、業務システム等のあらゆるデータを収集し、AIに査察をやらせて不正を発見するというものです。マイナンバーもそうですが、すべてデータ化されて便利になるのはいいのですが、情報が全部吸い上げられプライベートがガラス張りになることの不安と情報漏えい等リスクもあるところです。

 

〇税務署と国税局勤務の経験からの感覚では、税務署所管の会社で、この制度を使っているところは、ほとんど記憶にないです。見たことない。

〇著名法人や上場企業等国税局調査部所管法人は結構利用しています。

 

改正前の研究開発税制の概要

研究開発税制は、青色申告法人を対象とするもので、次の4つの制度によって構成されていました。

①    試験研究費の総額にかかる税額控除制度

「総額型」と呼ばれるもので、損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その総額の一定割合の金額を法人税額から控除するもの。

この場合、自社での研究開発費用を「試験研究費」といいます。

②    特別試験研究費にかかる税額控除

「オープンイノベーション型」と呼ばれるもので損金に算入される特別試験研究費の額がある場合にその総額の一定割合の金額を法人税額から控除するもの

この場合、大学や研究機関等との共同開発を「オープンイノベーション型」といい、その開発費を「特別試験研究費」といいます。

③    中小企業技術基盤強化税制

①との選択適用

④    試験研究費の額が増加した場合等の税額制度(時限措置)

①    ②③の制度とは別枠で試験研究費の額の一定割合と法人税額から控除することを認めたもの

 

改正の概要

①試験研究費の総額に係る税額控除制度

(1)①について、改正前は試験研究費割合に応じ8~10%だった控除率を表のような試験研究費の増加割合に応じて6~14%の控除率とする制度に改組されました。

これにより、試験研究費の増加幅が大きいほど、減税額が増えることとなりました。

 

【影響】

〇「総額型」の税額控除率が、売上に占める試験研究費の割合ではなく、過年度と比較した試験研究費の増加額により減税する仕組みに変わったことから、前年比で試験研究費が減少した場合には、十分な恩恵を受けられない。

 

〇ただし、中小企業には改正を影響させず、現状維持の手当てが取られ、手厚い減税措置がと講じられている。

 

5ページのグラフを見てください。

改正前の控除率の仕組みが左側です。

〇平均売上金額に対する試験研究費の額の割合に応じて、8~10%の範囲で控除率が変動する仕組みになっている図です。

 

〇その右側が改正後となります。

改正後は、試験研究費増減割合に応じ、控除率が下図のように変動する仕組みとなっている。

 

〇例えば、グラフの横軸のとおり5%増加したら控除率は点線をたどると9%になり、22%増加するとその控除率は14%になります。

〇試験研究費が増減なしでも8.5%の税額控除、マイナスでも25%減のところのように6%が税額控除できるという改正となっています。

〇グラフを見比べていただいてもわかるように、改正後のグラフの方が右肩上がりになっていて、すなわち控除額も大きく改正されたということがわかると思います。

 

【改正の影響】

計算の仕方は技術的なところですので、省略します。

〇ある試算によると、中小企業の場合、試験研究費の増減割合が5%超のケースにおいては、この改正で控除額が増加し減税となります。5%以下のケースでは、控除額は変わらないという結果が出ています。

〇研究開発がある企業は、支出の5%が検討の目安となるでしょう。

〇控除割合には、法人税の10%が上限とされています。

 

2賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し

所得拡大促進税制について、企業に更なる賃上げインセンティブを与える機能を強化する観点から、高い賃上げを行う企業への支援が強化されました。

(1)所得拡大促進税制の概要

〇所得拡大促進税制とは、青色申告法人が、国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときに、税額控除が認められるというものです。

(2)改正の概要

下の図をご覧ください。

〇大企業については、平均給与が前年を上回る等の要件があり、改正により、ただ上回るだけでなく2%増を求められることとなり、適用のハードルは上がりましたが、要件を満たせば、税額控除は改正前の10%に2%の上乗せ措置を認めています。

これは、大企業向の改正です。

 

(4)中小企業の賃上げを促すための税制上の措置

〇大企業と中小企業の賃金水準の格差が拡大しているなか、中小企業には更なる上乗せが措置されています。

〇改正前は、平成24年度からの雇用者給与等支給増加額の10%が税額控除できていましたが、

〇改正後は、適用要件を満たせば、税額控除は改正前の12%の上乗せ措置が認められています。

 

【影響】

〇役員報酬は含みませんので注意が必要です。

〇賃上げ率2%未満でも、上乗せ措置はないが、改正前の10%の税額控除は認められていますので、従業員の賃上げを考えている会社は、この制度を使えるかどうか検討してみていただければと

3コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備

(1)確定申告書の提出期限の延長の特例の見直し

企業と投資家の対話の充実を図るため、上場企業等が株主総会の開催日を柔軟に設定できるよう、法人税等の申告期限の延長可能月数が拡大されました。

 

〇例:ライブドア、村上ファンドなど「モノ言う株主」が注目され「企業は株主のもの」ということを多くの人に意識付けした。

〇エンロン、オリンパスの会計不正、最近では東芝の不正会計(粉飾決算)など

 

〇コーポレートガバナンス(CG:企業統治)の主な目的は2つ

(1)企業不祥事を防ぐということと

(2)企業の収益力を強化することという点にある。

 

〇CGを実施する上では、株主、債権者、従業員などといった様々な利害関係者(ステークホルダー)の利害が衝突する場面がある。必要なのはステークホルダーとの対話。

 

〇投資家対応に視点をおいた環境の整備といえる。

 

〇具体的には、14ページ。

昔みたいに同一日に株主総会を開くことで、出来るだけ対話も減らし、チャンチャンと終わろうという流れから、株主総会開催日の柔軟性に合わせて、法人の申告期限もそれに合わせましょうという趣旨です。

 

〇3月決算法人の場合

株主総会は6月末に集中します。その開催に柔軟性を持たせて、例えば8月に開催した場合、申告期限も総会に合わせて延長しますよというもの。

原則5月末から最長で最大6か月後まで申告期限の延長が可能となった。

 

(2)役員給与の見直し

わが国企業の役員報酬は、依然として固定報酬中心であり、欧米と比べて株式報酬などの中長期インセンティブや業績連動報酬の割合が低く、業績向上のインセンティブが発揮されにくい状況にあります。

また、大企業を中心に、欧米諸国で利用されている多様な株式報酬や業績連動報酬を利用したいとの要望もありました。

そこで、経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブを付与することができるよう、業績に連動した報酬等の柔軟な活用を可能とするために、損金算入の対象範囲が拡大されました。

 

〇インセンティブ(3回でてきた)・・・値引きや奨励金、報奨金の意味合いのほかに、雇用者に刺激を与えやる気を起こさせる、その動機付けのことを言う。

 

〇自社の株式を給料として与えれば、もらった方は株価が上がるように仕事を一生懸命頑張るでしょう。そんな場合の株式報酬も損金としてみとめましょうということで、これらが新たに損金算入役員報酬に加えられたということです。

 

改正の内容は、

①定期同額給与

〇支給時期における支給額が同額である給与を定期同額給与といいます。

〇これに、税金や社会保険を天引きされた後の手取りが同額であるものも同額ということと措置されました。

〇例:過去には、額面ではなく「手取り」が同額であることを理由に、定期同額給与に該当するとして申告した法人が否認されたケースもあります。

*外国人役員に対して「手取り」で役員給与を支給することの多い外資系企業などから改正を求める声があったようです。

 

②事前確定届出給与

〇所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づき支給したのであれば損金に入れましょうという制度。

〇賞与の支給時期と支給額をあらかじめ税務署に届出すれば損金として認める制度です。

〇改正により金銭だけでなく、株式の交付を加えています。

 

③利益連動給与

〇主に上場企業向けですが、業績に関する指標(税引き前利益、ROE、ROA)を基礎として算定される給与をいいます。

〇改正により、算定に用いる指標の範囲が拡大されています。

 

④退職給与・ストックオプション

〇ストックオプションは、あらかじめ定められた行使価額で自社株を取得する権利。

〇例:1000円で自社株を取得する権利をもらえば、株価が1500円の時に行使すれば、安く買えるわけなので(手を上げて、すぐ売れば)、500円儲かる。というもの。

〇改正前は、①~③にかからわず権利行使日の属する事業年度に損金に算入されていた。

〇改正後は、②及び③の縛りを受けることとなった。

 

 (3)組織再編税制等の見直し

合併や会社分割、株式交換など、会社の組織再編があった場合、移転した資産・負債は時価で譲渡されたものとして課税されるのが原則です。

しかし、一定の要件を満たす場合は、譲渡損益を繰り延べることができます。

この制度のことを組織再編税制といいます。

本年度は、経営戦略に基づく先を見据えたスピード感のある事業再編等を加速するため、スピンオフやスクイーズアウト等の円滑な実施を可能とする税制の整備や、組織再編税制に関する見直しが行われました。

〇スピンオフとは、特定事業や子会社を切り離して独立会社とすること。

〇スクイーズアウトとは、少数株主に金銭や株式等を交付して、完全子会社とすること(少数株主の排除)。

〇図のように事業や子会社を本体から切り離す組織再編について、従来は、譲渡損益に課税されていたものを、課税を繰り延べる措置が講じられた。

〇支配株主のいない上場会社を想定したものですので、省略します。

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4中堅・中小事業者の支援

(1)地域中核企業向け設備投資促進税制(地域未来投資促進税制の創設)

地域経済を牽引する中核企業等が地域経済に波及効果のある新たな事業に挑戦するために行う設備投資を対象に、特別償却又は税額控除ができる制度が創設されました。

この制度は、「企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律」の改正が前提になっています。

①要件

対象者・・・青色申告事業者で、法律の承認地域経済牽引事業者

対象期間・・・31年3月31日まで

対象設備・・・牽引事業促進区域内において、その事業計画に従って、特定の設備等の新設又は増設をする場合に、特定事業用機械等の取得等をして、事業のように供したとき

 

用語の定義を見ると、

地域経済牽引事業とは、地域事業の経済的活動を牽引する事業をいいます。

〇製造業の工場などは特に地方の経済を支えてきた背景があるが、最近、設備投資に力強さがなく(安い人材等を求めて海外への工場移転もある)地方での新規立地も低迷している。

〇なんとかして、地方に成長力のある企業を誘致することで、もう一度地域を盛り上げていこうという趣旨の税制となっている。

 

〇特定地域経済牽引事業施設とは

承認地域経済牽引事業計画に定められた施設又は設備で、取得価額合計額が2000万円以上のものをいう。

 

〇その場合に、取得価額の20%あるいは40%の特別償却や税額控除がとれる制度です。

 

21ページの下の枠を見ていただくと、

対象事業のイメージがあり、事業者が計画を策定し、それが国や地方自治体から認可され、2000万円以上の設備投資を行った場合に、適用を考えるというものです。

 

(2)中小企業向け設備投資促進税制の拡充

わが国のGDPの約7割を占めるサービス産業の生産性の向上を図るため、対象設備に器具備品や建物付属設備を加えて、サービス産業も含めた中小企業が行う生産性の向上につながる設備投資への支援が拡充されました。

22ページ中央の図を見てください。

〇中小企業投資促進税制の全体像があります。

 

〇改正前は、左側の中央下の【通常措置】として160万円以上の機械装置や複数合計70万円以上のソフトウエアを買った場合に30%の特別償却や税額控除として7%を認めていました。

 

〇さらに、それの【上乗せ措置】として、その設備が「先端設備」や「生産ライン等の改善に資する設備」であると経産省等からの証明や認定を受ければ、さらに即時償却も可能とする減税措置が取られていました。

 

〇今回の改正で、図の右側になりますが、【通常措置】については、「中小企業投資促進税制」、また、器具備品30万円以上、建物付属設備60万円以上を特別償却や税額控除の対象とする「商業・サービス業活性化税制」については、2年延長され平成31年3月31日までの適用とされました。

 

〇【上乗せ措置】については、【中小企業経営強化税制】と改組(再編成)され、独立した制度となりました。

〇従来は一定の器具備品が対象だったが、今回の改正ですべての器具備品や建物付属設備が対象となっています。これも即時償却が可能で、買ったその年に全額損金算入します。

ただし、生産性設備が対象ですので、事務用器具備品は引き続き対象外となっています。

 

〇少し高めの設備投資をした場合には、これらの制度を何となく思い出して、減税できるどうか検討してみるといいと思います。

 

23、24ページは今お話ししたところの用語の定義等が記載されております。省略です。

 

25ページに中小企業経営強化税制の概要があります。

〇中小企業の稼ぐ力を向上さえる取り組みを支援するため、中小企業等経営強化法の計画認定に基づく設備投資を、即時償却等(買ったその年に全額経費に落とせる)で協力に後押しする。

 

〇従来の機械装置に加え、器具備品や建物付属設備を広く対象に加えることで、サービス業も含めて広く中小企業の生産性の向上に資する措置へと改組している。適用期間は2年間です。

 

〇改正の概要をまとめたものが表として記載されています。

〇買ったものが25ページの生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)に当てはまりそうな場合、全額その年に損金に算入できますが、工業会やら経産局らの証明を取り寄せる必要があります。この証明には、1~2か月かかりますので、計画的な設備投資と減税の検討が必要です。

 

*経営強化法の器具備品のイメージ

卸・小売業・・・仕入活動及び経費管理に関するIT利用(高効率冷蔵陳列棚)

旅館業・・・ICT投資・設備投資・省エネ投資(高効率空調)

介護分野・・・介護ロボット、介護ロボットスーツ

 

《参考》

特別償却

〇特別償却は通常の減価償却に上乗せして、早く償却していく。

〇今期できるだけ経費に落としたい場合に使うが、将来的は償却費が少なくなる。

〇必ずしもキャッシュと紐付かない。

税額控除

〇いくら高い機械を買っても、控除額は法人税額の20%までという頭打ちがある。

〇税額を直接減らすため確実にキャッシュで帰ってくる。

*どっちが得かはケースバイケースなので、適用前のシミュレーションが大事になる。

 

(5)中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限延長

〇景気は緩やかな回復基調にあるものの、中小企業にとっては依然として予断を許さない状況であることには、ずーっと変わりありません。

〇中小企業の財務基盤の安定強化を図るためとして、

年800万円以下の所得に対する法人税率は引き続き15%が延長されています。

 

(6)中小企業の生産性向上のための固定資産税の特例の拡充

は28ページの図をご覧ください。

〇GDP(国内総生産)600兆円に向けて、中小企業の生産性向上は緊急の課題。

(日本の企業の99.9%は中小企業なのに、今更緊急の課題なんて何言ってんだって感じ)

〇特に赤字法人を含む商店・飲食店・介護事業者などの中小サービス等の生産性向上を促すため、中小企業等経営強化法の認定を受けた事業者が取得する機械装置に係る固定資産税の特例措置を拡充し、対象設備に一定の器具備品・建物付属設備等を追加し、追加設備については、対象となる地域・業種を限定し、重点的に支援するという制度です。

 

〇先ほど見ました「中小企業等経営強化法」上の制度となります。

 

〇中小企業は、経営力向上計画を策定し、その認定計画に基づき平成30年度末までに取得する器具備品・建物付属設備等について、国の認定を受けられれば、固定資産税を3年間2分の1に軽減できる措置です。

 

〇特例の活用を考える場合、①対象設備に該当するか否か、②対象地域に該当するか否か、

〇神奈川県は最低賃金が全国平均以上の地域ですので、全業種というわけにはいかないようです。地域別の対象業種については、中小企業庁HPに掲載があります。

*ただし、機械装置については、全国・全業種対象となっています。

 

〇効率的に申請するには、支援機関としての認定を受けている税理士、商工会議所や金融機関等のサポートを受けることが望ましいと思われます。

〇平成29年3月15日から、経営力向上計画の新様式での申請がスタートしていますので、最新の申請様式は中小企業庁のHPを確認してください。

 

《参考》4つの柱

・27ページ・・・固定資産税を3年間2分の1とする固定資産税の特例

・22ページ・・・設備の特別償却を認める中小企業促進税制

・           その更なる上乗せで設備の即時償却を行う中小企業経営強化税制

・           製造業、非製造業を問わず、幅広く、商業、サービス業までその対象を広げ

・           る商業サービス業活性化税制の4つを柱として、

・    中小企業の設備投資を強力に後押ししていくということとしています。

 

5円滑・適正な納税のための環境整備

手続き簡素化の趣旨から見直された項目です。

①法人税の納税地に移動があった場合、異動前の税務署と異動後の税務署の両方に異動届出書を提出していましたが、平成29年4月1日以後の異動から、その異動後の住所の所轄税務署にだけ届出を出せば済むこととさてました。

②法人の設立届出書等への登記事項証明書の添付が不要とされています。

③以降は、あまり影響はございませんので省略します。

 

Ⅱ個人に係る税制改正のポイント

1配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

配偶者特別控除について、所得控除額38万円の対象となる配偶者の合計所得金額の上限が85万円(給与所得のみの場合、給与収入が103万円から150万円)に引き上げられました。

また、配偶者控除・配偶者特別控除について、担税力の調整の必要性の観点から、これらの控除が適用される納税者本人の合計所得金額に所得制限が設けられました。

 

では、具体的に見ていきましょう。

32ページの図を見てください。

〇配偶者控除額の見直し (  )内は個人住民税の配偶者控除額です。

 

〇改正前は、配偶者の合計所得金額が38万円以下であれば、納税者例えば旦那さん本人の合計所得金額に制限がなく、配偶者控除は38万円が取れていました。

70歳以上の老人配偶者に該当すれば、48万円の控除が取れます。

 

〇改正後は、配偶者の合計所得金額(38万円基準)に変わりはありませんが、旦那さんなど納税者本人の所得が1千万円を超える場合は配偶者控除の適用を受けることはできなくなっています。

高所得者に対しては、増税とされました。

 

〇ただ、納税者本人の所得が900万円超から1000万円までは段階的な適用となります。

例えば、①900万円以下であれば、今まで通り38万円の配偶者控除が取れます。

②900万円を超え950万円以下の場合、配偶者控除は26万円と縮小され、

③950万円を超え1000万円以下の場合はさらに13万円の配偶者控除に縮小されています。

1000万円を1円でも超えてしまうと配偶者控除はゼロです。

 

次に配偶者特別控除の見直しです

〇改正前は、配偶者の合計所得金額が38万円超から76万円未満であれば、配偶者特別控除の対象となっていました。

 

〇改正後は、38万円超から123万円以下までとその配偶者の所得の幅が拡大されています。なお、改正前と同様に、納税者本人の合計所得が1000万円を超える場合については、適用できないこととされています。

 

具体例を見ていきます。33ページ下の図をご覧ください。

〇納税者本人の給与収入が1120万円以下の場合

給料収入が1120万円だと、給与所得控除が1120万円×95%-170万円となりますので、所得は894万円となる。(合計所得金額が900万円以下の場合)を設例としています。

 

〇合計所得が900万円以下なので、配偶者控除も配偶者特別控除もまずはとれる資格があるという設定です。

 

〇横軸は配偶者の給与収入です。パートなどを想定しているものでしょう。

 

〇配偶者の給与収入が横軸103万円であれば、給与所得控除の金額65万円をひくと、所得はその下のカッコ書きの38万円となり、配偶者控除をとれることとなる。

 

〇これが、いわゆる103万円の壁といわれているものです。

 

〇配偶者の給与所得が103万円を超えると、配偶者控除は受けられなくなります。

そこで出てくるのが、配偶者特別控除です。

 

〇なので、配偶者控除と配偶者特別控除の適用は103万円の収入で分断されますので、これらの重複適用はできません。

 

〇改正前は真ん中あたりの「階段」下軸、配偶者の給与収入が141万円のとき給与所得控除は65万円なので差引()書きの76万円まで段階的に配偶者特別控除が取れていた。

 

〇改正後は、横軸、すなわち配偶者の給与収入が大きく右にシフトします。

右にシフトするということは控除額が増えるということ。

 

〇配偶者の給料が150万円のとき65万円の所得控除を差引き85万円の所得となり、配偶者特別控除の上限38万円が取れる。

 

〇あとは、配偶者の給与収入が201万円まで段階的に少なくはなりますが配偶者特別控除をとることができる。

 

〇103万円の壁が150万円の壁となったわけです。

 

〇税制面では、配偶者パート収入が103万円を超えても世帯手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる「配偶者特別控除」導入により「103万円壁」解消されている。

 

〇他方、企業の配偶者手当支給基準をこの103万円を援用するなどの心理的な壁として 「103万円壁」が作用し、パート収入を103万円以内に抑える傾向がある。

 

〇このような就業調整をせずにすむよう、「配偶者特別控除」について、控除額38万円対象となる配偶者給与年収上限を103万円から150万円に引き上げる。

 

〇給与年収 150万円という水準、安倍内閣が目指している最低賃金全国加重平均額である1,000円時給で1日6時間、週5日勤務した 場合給与年収(144万円)を上回るものである。

 

〇一方、高所得者にはそれなりに負担してもらおうという税制中立観点から、「配偶者控除」にも納税者本人所得制限が設けられるとともに、所得金額によって控除額が変わる仕組みとなる。

 

《背景》

〇専業主婦世帯の優遇税制と言われてきたが、

〇昨今、「一億総活躍社会」とか取り上げられており、老若男女の就労を促し「働き方改革」を後押しする制度となっている。

〇もともとの政府の構想では、配偶者控除を廃止してしまって、共働き世帯にも恩恵のある「夫婦控除」を作るつもりでいた(2015.11自民税制調査会も前向き)が、

〇多くの専業主婦世帯が増税となるので、公明党の反対(選挙対策)もあり、官邸もこれに同調したことから、一転、制度を維持することとなった。

 

 

【影響】

適用時期は、平成30年分以後所得税、平成31年度分以後個人住民税について適用される

 

【課題】

〇多くの企業の配偶者手当の支給基準が見直され、「103万円の壁」が解消されることが期待されている。

〇社会保険には依然として「130万円の壁(配偶者が中小企業に勤務する場合)」又は「106万円の壁(配偶者が従業員501人以上の企業に勤務する場合)」が存在する。

〇そのため、配偶者自身が社会保険料を負担することになると配偶者の給与年収が増加しても一定額までは世帯の手取りが減少する逆転現象は生じてしまう。

 

*配偶者の給与収入が130万円以上になると、国民年金の第1号被保険者となる。また、配偶者の労働時間が正社員の4分の3以上になると、厚生年金の加入者(国民年金の第2号被保険者)となる。

〇配偶者がもし厚生年金に加入することとなったらとして「世帯手取り額」を試算すると、

・配偶者の給与収入は130万円以上で加入となり健康保険料や厚生年金保険料を負担するのでその分手取りが減少する。

・153万円で社保加入前の手取り額に回復する。

・配偶者特別控除改正前は159万円で手取り回復でしたので、7万円は改正で手当てされていることになるという試算が出ている。

 

2積立NISAの創設等

平成26年から始まった「少額投資非課税制度(NISA)」は、上場株式等の配当や売却益を非課税とする制度です。これについて、少額からの積立・分散投資を促進するための積立NISAが新たに創設されました。また、従来のNISAについては、5年の非課税期間が終了する際の措置が講じられて、利便性が向上しました。

〇例:100万円の株式を買って、150万円まで値上がりしたときに売却したとすると、その50万円の譲渡益に対して、通常口座だと譲渡益に対し20.315%の税金(10万円ほど)が取られます。しかし、NISAなら非課税なので、50万、そのままもらえる。

〇逆にNISA口座で損した場合は、他の口座の株式の売却益と損益通算や損失の繰り越しができないという面もあります。

 

35ページの図を見てください。

〇図の左側が今回新たに設けられた積立NISAです。右側の従来のNISAと選択できるようになっております。

〇年間の投資上限額を見ると積立NISAは40万円と少額設定商品をなっています。

〇NISAは普及していると言われていますが、口座開設者のうち、20歳代~50歳代の現役世代の占める割合が半数未満にとどまっているほか、口座を開設したものの一度も買い付けを行っていない口座が過半数を占めているなどの課題があった。

 

〇もっとすそ野を拡大しようという趣旨で、少額からの積立分散型を創設したもの。

 

(2)のロールオーバーの際の上限撤廃について

〇NISAの非課税期間である5年を過ぎたとき3つの選択をすることになる。

①売却する

②NISAから一般口座へ移す

③新たなNISA口座に移し(ロールオーバー)、非課税のまま株を持つ

 

〇改正前は、NISA・ジュニアNISAでは、5年間の非課税期間終了時に、NISA口座内の上場株式等を新たなNISA口座に移管(ロールオーバー)する際には、その上場株式の時価が年間投資額上限額を超えている場合、年間投資額上限額である120万円の範囲内でしかロールオーバー(新たな都市の非課税管理口座への移管)できなかった。

 

〇例:120万円の上場株式が5年後150万円の時価をつけたとき、

改正前は、120万円をNISAへ、残り50万円を売るか一般口座へ移すかしていた。

〇そのため、ロールオーバーするには、

・年末最終価額を確認

・事前に銘柄、株数を上限範囲内で指定し、

・いくらを課税へ、いくらをNISAへかを決める

・金融機関に届け出を出す必要

・年末年始の休みに入っての意思決定なので金融機関やアドバイザー等の事務量も手間も膨大で年末年始の休みがない状態だった。

 

〇このロールオーバーの際の価格の上限を撤廃したということは、株の含み益は非課税とし含み損は無かったものとみなすということで、当初の取得価額をそのまま新しいNISAに引き継ぐことができ、様々な手間を軽減することとなったもの。

 

〇マイナンバーを付与する必要がある。

「みんなにいいさ!NISAがいいさ!!」

「マイナンバーの提供は早めがいいさ!!」

これは、日本証券業協会のNISA関係キャッチコピーです。

 

〇NISA口座を開設している証券会社に平成29年9月30日までにマイナンバーを提供しないと、平成30年以降、NISA口座の利用はできなくなります。

 

〇税務署に資産を把握されるということで、マイナンバーの提供には拒否感がある人もたくさんいるようですが、証券取引はすべて マイナンバーが義務づけられており、法律なので従うしかないということ。

 

3その他

(1)税務署への届け出の見直し

①から④まで、納税地や事務所移転の届出書について、従来は異動前の所轄税務署と異動後の所轄税務署の両方に住所異動の届出書を出していましたが、届出書の提出は異動後の所轄税務署だけでいいように見直されました。

 

(2)医療費控除等の確定申告添付書類の見直し

〇医療費控除又はセルフメディケーション税制の適用を受ける場合、領収証等を添付するか申告の際に提示することとなっていましたが、明細書の提出でいいこととされました。

 

*セルフメディケーション税制とは、H29年1月1日から新設、医薬品を買った領収証が年間1万2千円を超える場合、所得から控除する。

*市販薬の購入費に限定した医療費控除

*例:20,000円分の領収証があれば、8000円が控除される。上限は8万8千円。

*対象品目は厚生労働省HP。また、ドラッグストアの値札や商品の包装に「税控除対象」というマークなどが貼られている。

*医療費控除は10万円以上。このハードルが高すぎた。

*医療費とセルフメディケーションは選択適用する。

 

〇この場合において、税務署長は、確定申告期限等から5年間、その適用に係る医療費の領収証等の提示又は提出を求めることができ、求められたら、速やかに従う必要があります。

 

〇であれば、5年間、いつ出せなんて言われるかわからず心配しているより紛失の危険もあるし、今まで通りに提出していた方がすっきりしそうな気がします。

〇平成29年分の確定申告書から適用される。

Ⅲ土地・住宅に係る税制改正のポイント

1既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充

既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に向けて、耐久性等に優れた良質な住宅ストックの形成を促すため、長期優良住宅化リフォームに係る所得税の特別控除制度(ローン型・投資型)が措置されました。

〇省エネ改修工事に係る税額控除制度(ローン型・投資型)について、特定の省エネ改修工事等とあわせて行う耐久性向上改修工事が対象に加えられ、固定資産税については、減額措置が拡充されました。

 

*世の中、新築ばかりがあるわけじゃないので、現在、建っている住宅、住宅在庫、いわゆる「住宅ストック」など中古物件全般にも減税措置を拡充し、良質な住宅の形成につないでいこうという制度。

*どんどんお金を使ってくださいということ。

 

(1)既存住宅のリフォームに係る所得税額の特別控除(ローン型)の拡充

39ページ真ん中下の箱、

〇「リフォームに係るローン型減税の適用対象となる増改築等改修工事の拡充

改正前の適用対象増改築等改修工事である①~③の工事に加え、改正後はこれと併せて行う耐久性向上改修工事もリフォーム工事に係るローン控除の対象とされた。

年間12.5万円、5年間の最大控除額は62.5万円です。

 

〇特定の耐久性向上改修工事とは、38ページの黒の太字で記載があります。

イからニまでの諸要件、例えばハの長期優良住宅の認定基準に適合するとか、ニの工事費用が50万円超などの要件があるうえに、耐久性向上改修工事の証明書が必要となります。

これが「ローン型」といわれるものです。

 

(2)既存住宅のリフォームに係る所得税額の特別控除(投資型)の拡充

41ページ上の表です。

改正前の①から④のそれぞれの対象工事とその控除限度額に加え、改正後は新たにこれらに合わせて行う耐久性向上改修工事も対象とされました。

 

(3)耐震改修等を行った住宅の固定資産税の減額措置の拡充

長期優良住宅の認定を受けて、耐震改修や省エネ改修を行うと固定資産税が3分の2減額されますという制度。

 

長期優良住宅(増改築)の主な認定基準と特例を見ていきます。

42ページです。

〇認定を受けるためには、既存税制の対象である

①耐震性の確保、

②省エネルギー性の確保に係る工事に加えて、

③小屋裏の換気口の設置などの劣化対策、

④排水管を更新しやすい位置に移動するなど維持管理・更新の容易性の確保に係る工事であることが必要とされています。

この認定を受けて、特例を適用すると、所得税では、ローン、自己資金ともに最大約60万円の税額控除を受けられ、固定資産税も3分の2が減額されるという改正が行われました。

 

2居住用超高層建築物に係る課税の見直し

いわゆる「タワーマンション」に係る固定資産税及び不動産取得税について、区分所有者ごとの税額を算出する際に用いる専有床面積を、実際の取引価格の傾向を踏まえて補正するよう見直しが行われました。

〇タワーマンションは高層階ほど取引価格が高い傾向にあります。

〇一方、固定資産税や都市計画税、不動産取得税の税額は、一棟全体の税額を各区分所有者の専有面積で単純按分しているため、値段の高い高層階も値段の安い低層階も床面積が同じであれば同額になっていました。そんな不公平感を是正するための改正が行われました。

 

〇例:あるお金持ちが6億を子供に譲りたい。

だが、現金であげると、贈与税が3億もとられる。

そこで、まず①その6億で法人を設立します。

②さらに、法人が銀行から4億円の融資を受けます。これで、元手が10億になった。

③この10億でタワーマンションを何戸か購入します。

*タワマンの相続税評価は時価の20%程度なので、評価額が2億となる。

〇つまり、決算書上、資本金6億円の会社が、資産を2億円持ったことになる。

しかし、銀行借入れが4億円あるので、この会社は「債務超過」会社となり、会社の株式6億円の評価額は「ゼロ」になってしまう。

④そこで、この会社の株式を子供に贈与する。

*形式上、価値ゼロの紙屑株式なので贈与税はゼロとなる。

⑤息子は、買った値段でタワマンを売れば、10億が手に入り、銀行に4億返せば、6億が無税で手に入るという仕組み。

 

(1)固定資産税・都市計画税

高さが60メートルを超える建築物(建築基準法令上の「超高層建築物」)に対して課する固定資産税、都市計画税、不動産取得税について、階層に応じた補正率を創設しています。

つまり、マンションの階層が増すごとに税負担が増える仕組みにしています。

 

【影響】家屋全体の固定資産税等は変わらず!

〇各区分所有者の家屋に係る固定資産税、都市計画税、不動産取得税の負担を階層に応じて調整する改正であり、「固定資産税評価額」自体を改正するものではない。

 

〇家屋の相続税評価額は、財産評価基本通達に基づき「固定資産税評価額」により評価し、高層階・低層階とも床面積が同じであれば同額となる。

 

〇そのため、低層階に比べ高層階の取引価格が特に高いタワマンの場合は、時価と相続税評価額に大きくかい離が生じており、これを利用した「タワマン節税」が問題視されている。お金持ちは現金で持っているよりも、価値は高いが評価が低く節税になるタワマンをこぞって買いました。

 

〇ただ、例えば、50階建てマンションで現行の固定資産税が20万円の場合、40階部分だと改正後は20万6996円になるだけ。この程度の税負担の差で時価との乖離を埋められることができるかというと疑問です。

〇更に、これは、あくまで税額の按分であり、「固定資産税評価額」自体を改正するモノではないため、家屋の固定資産税評価額は変わらず、したがって、相続税・贈与税に影響しない。

〇相続税額について実際に差があり過ぎる場合は財産評価基本通達の総則6項が使われることとなります。相続開始直前に取得したケースでは総則6項適用が考えられるが、財産基本通達を見直さなければタワマン節税は防止できないでしょう。(20170215税理士会第1349号)

 

また、登録免許税についても影響はない。

平成29年1月2日以後新築のタワーマンションに適用します。

 

現在の超高層マンション

1位 大阪市中央区 Kitahama (北浜タワー)54階建 209.4m

2位 川崎市中原区 パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー 59階建て 203.45m

3位 大阪市港区 クロスタワー大阪ベイ 54階建 200.4m

 

3登録免許税の軽減措置の適用期限延長

軽減税率の適用が2年間延長されています。

 

4事業用資産の買換えの場合の特例の見直しと延長

事業用の資産を買い替える場合、譲渡する資産と購入する資産が共に事業用で要件を満たす場合、譲渡益に対する課税を一部繰り延べるという制度です。

これは3年間延長されました。

*買い替えの特例は、買い替えの組み合わせや対象資産の範囲に気を付けて、十分に検討したうえで活用することが大事です。

 

5サービス付き高齢者向け賃貸住宅に係る措置の見直し

住宅医療・介護の場となるサービス付き高齢者向け賃貸住宅お供給を促進するための措置として、①固定資産税の減額特例、②住宅に係る不動産取得税の特例、③土地に係る不動産取得税の減額措置があります。

これらの措置について、対象家屋の戸数が5戸以上から10戸以上へと要件の引き上げが行われ、固定資産税及び不動産取得税減額のための床面積要件では、上限が引き下げられました。

 

6広大地の評価の見直し47ページ

面積が広大ないわゆる広大地の従来の評価の考え方は、広くなればなるほど、道路を作ったり公園が必要だったりすることを考慮して、評価額を減額しています。

広大地評価の適用課否の判断基準が不明確であるため、国税サイドと納税者との間で広大地に該当するか否かをめぐり多くの審査請求や裁判が行われている。

 

広大地の評価方法は、その土地の個別的な要因は考慮されず、同じ路線価と地積であれば、いずれも同じ相続税評価額になるという仕組み。

そのため、取引価格と相続税評価額が大きくかい離する事例を発生したため、各土地の個性に応じて面積・形状に基づき評価する方法に見直さてました。

 

【影響】

形状が良い広大地は改正前より相続税評価額が大きく上がる可能性がある。

平成30年1月1日以後の相続等により取得する財産について適用される。

 

Ⅳ相続・贈与に係る税制改正のポイント

〇2015/1/1から相続税が増税されています。

〇最高税率が引き上げられ

・2億円を超える部分が40%から45%
・6億円を超える部分が50%から55%

〇基礎控除が減額された。

・改正前:5000万円+(法定相続人の人数×1000万円)

・改正後:3000万円+(法定相続人の人数×600万円)

例:法定相続人が3人いる場合では、8000万円までの財産が非課税となっていたが、改正後は4800万円までしか控除されず、それを超える部分に関しては課税される結果となります。ほぼ40%ほど縮小された。

〇27年分の相続税の課税割合(課税された人/全死亡者数)は8%、100人中8人

〇26年分は4.5%なのでほぼ倍だが、それでも、100人中の8人。(都内は4人に一人)

〇余程のお金持ちか土地持ちの資産家、あるいは上場株をたくさん持っている人以外は、あまり心配することはない。

〇ということで、今回の改正を見ていきます。

相続税法の時価主義の下、実態を踏まえて、次の見直しが行われました。

相続税法は、財産の評価を「時価」によるものとしていますが、取引相場のない株式の時価を算定することは容易ではなく、実務上は財産評価通達に基づき算定しています。今回、この通達が定める「類似業種批准方式」の見直しが図られました。

1事業承継促進のための税制措置の強化等

〇事業承継についての措置です。

〇中小企業経営者の年齢のピークは66歳といわれ、平均引退年齢は67.7歳、小規模事業者では70.5歳となっています。

〇今までに蓄積された事業価値、ノウハウをしっかりと次世代へ引き継ぎ、また、世帯交代をきっかけとして、さらなる事業の拡大、活性化していくために事業承継の円滑化は必須となっている。

〇事業承継には、株式などの事業用資産を後継者に引き継ぐことが不可欠で、その方法として、有償での株式譲渡のケースもあるが、親族内後継者のケースを中心として贈与や相続の方法も多くみられる。これに伴い、引き継ぐ株式などの資産の価格に応じた相続税・贈与時絵の負担が発生することとなります。

 

(1)取引相場のない株式の評価の見直し

〇そこで、平成29年度では、取引相場のない株式の価値の算定方法について見直されました。

「類似業種批准方式」は、類似業種の上場企業の株価をサンプルに計算に取り込みますが、景気変動の影響を受けて変動しやすいという特徴があることから、評価額の平準化措置が取られていて、また、事業承継の円滑化の観点から、中小企業の実力を適切に反映した評価方法への見直しが図られています。

 

50ページから細かすぎる計算方法が書いてありますが、省略します。

 

(2)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の見直し

 

事業承継を後押しする制度の一つである「非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度」の適用要件が一層緩和されて、生前贈与が行いやすくなりました。

〇事業承継といえども株式などを相続や贈与を行った場合は、原則、課税されるのは当然だけれども、事業承継を円滑にするために納税を猶予しますというものなので、要件が設定してります。

〇納税の猶予中に要件を充たさなくなると、猶予取消となり、本来払うべき税金が課税されることとなります。

 

①要件の緩和と生前贈与の促進

イ雇用確保要件の緩和

ポイントにあるとおり、これまでは要件充足が難しかった従業員5人未満の企業についても、要件を満たしやすくなります。

〇例:従業員が4人だったが、辞めて3人になった例があります。

相続又は贈与時の従業員の80%を維持しなければならない要件がありますので、

もともと4人だったら、その80%=3.2人

改正前は切り上げで4人が要件なので、3人になったら、猶予取消となっていた。

改正後は切り捨てとなり、要件は3人いればOKとなった。

一人辞めても取消は免れていた。

〇人手不足を踏まえた雇用要件の見直しです。

 

ロ適用対象の拡大

相続時精算課税制度に係る贈与が、贈与税の納税猶予制度の適用対象に追加された。

ハ贈与者が死亡した場合の相続税納税猶予制度における認定相続承継会社要件の見直し

これは、要件撤廃となっています。

 

②災害時の被災者等が本制度の適用を受ける場合の特例を措置

この制度の適用を受けるためには、相続税・贈与税の申告期限から5年間、雇用の8割以上を維持する等の一定の要件を満たして、事業を継続する必要があります。

したがって、従来は、その5年の間に災害や取引先の倒産等が生じて要件を満たさなくなった場合には、高額の贈与税が発生することになりました。

今改正では、高額な税負担のリスクを軽減する措置がとられています。

 

54ページで

贈与税納税猶予取消時の負担軽減措置(相続時精算課税制度との併用)

《事例》

〇設定あり

 

①相続により自社株式を取得した場合

相続税

相続財産2億円

相続税の基礎控除 3000万円+600万円×1人=3600万円

2億―3600万円=1億6400万円

16400万円×40%-1700万円=4860万円

 

②贈与税の納税の猶予の適用を受けたが、取消された場合(従来制度)

2億円の贈与税

直系尊属・・・特例贈与財産

2億円―基礎控除110万円=19890万円

19890万円×55%-640万円=約1億300万円(102,995,000円)

*相続税はなし

 

③相続時精算課税制度との併用を認める場合《今回の改正》

〇認定取り消し時に相続税精算課税で計算

(2億―特別控除2500万円)×一律20%=3500万円

〇その後の相続税発生時

本来の相続税①の場合の4860万円から、相続時精算課税で前もって納めていた△3500万円を差引、=1360万円が相続税の納税額となる。

〇結果、トータル税額は①と同じ4860万円で、②の取消時の高額納税を回避している措置となっている。

*通常の相続があった場合の相続税と納税額の合計が一致する。

 

相続税・贈与税の納税義務の見直し

改正前は、日本に住む外国人が死亡すると、国外に住む親族が国外の財産を相続する場合でも、日本の相続税の課税対象になることがありました。そこで一定の要件を満たす場合は、課税対象を国内財産に限定する措置が講じられました。

①優秀な外国の人材が日本で働きやすいように、在留資格により一時的に日本に住所を有する外国人同士の相続・贈与については、国外財産を相続税・贈与税の課税対象にしないこととした。

 

②日本に住所を有しないことによる、相続税・贈与税の課税を免れる租税回避の抑制を図る。

 

〇例

・香港、シンガポールなどは相続税も贈与税もない。キャピタルゲイン(譲渡益)課税もない。

・お金持ちには、たいへん魅力的な国

〇お金持ちが日本を逃げ出したくなる要因もたくさんある。

・最近の富裕層への課税強化、集中的な税務調査も実施されている。

・2013年までは株の売却益は10%課税だったが、2014年から解除され20%と課税強化。

・代わりに導入されたNISAは120万円までなので金持ちには関係ない。

・おまけに2015年1月に所得税の最高税率(40➡45%へ。住民税を合わせると55%)、相続税の最高税率(50➡55%)とダブル増税。

・2015年7月には、出国税(1億円超の有価証券を持つ人が海外移住する場合、含み益に課税)

・2014年には既に「国外財産調書」(海外資産5000万円超の届け出)の導入

 

〇租税回避を目論み、海外移住をやってみるが、

シンガポールなんていたって、いくらインフラが整っていても、妻や子は日本がいいといってついてこないし、金はあってもやることないし、英語話せなきゃカモられるだけだし、メシは高くてまずいし。

〇たまに帰国しても、非居住者とされる「1年の半分以上、183日以上海外にいれば大丈夫」というのも頭にあるが、税務署からは「実質で」判断されるので、妻や税理士からは、「いつまでいるの!早くシンガポールに帰って!」なんて言われるし。

〇でも、5年いれば、海外財産に相続税はかからないと聞いているし辛抱と思って頑張っていた。

 

〇ところが、改正で海外の財産に相続税がかからないための5年移住基準が10年超の移住、海外生活が必要になって、途方に暮れているなんて話もあります。

 

主な改正は下の表の①~③の3つです。

次ページの図で見ていきます。

〇上の行、横に相続人(受贈者)、縦に被相続人(贈与者)のマトリクスになっています。

 

〇図中の緑の箱は国内財産、国外財産ともに相続税が課税される場合です。

〇白箱部分は国内財産のみに相続税が課税されることを意味しています。

 

改正部分を見ていきます。

〇縦軸の被相続人が国内に住所あり、相続人も国内に住所の場合、一時的に日本に住所を有する外国人同士で相続が発生した場合、

〇改正前は、国内・国外財産ともに課税されていて、そこの枠「緑」でした。

〇改正により国内財産のみを課税対象とすることとされました。Ⓐの部分が改正部分です。短期滞在の外国人については、その住所が無いものとみなすことで、相続税を課さないこととし、外国人の人材の受け入れの促進につなげようとするものです。

 

〇次に、横軸の相続人で、国内に住所なし、日本国籍あり、国内に10年以内に住所がない場合は、国内財産のみの課税となり、国外財産には相続税は課税されません。

〇改正前は「5年基準」でしたが、これが10年基準に変更されました。Ⓑ表示のところです。

〇親子で5年超国外に移住してから、国外財産を贈与する等の租税回避が横行していたことの手当てがされたということです。

〇今後は、相続税等を納めるのがいやなら、10年超日本から出ていないとだめになった。

 

〇次に横軸、国内に住所なし、日本国籍なしの相続人が、過去10年以内に日本に住所を有していた者から相続等により取得した国外財産が課税対象とされました。©の部分です。

 

〇外国で出生して日本国籍を取得しなかった子に対して一時的に国外に住所を移したうえで国外財産を贈与する等の租税回避行為を抑制するための改正です。

 

平成29年4月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用する。

 

【影響】

親子ともども海外移住しても10年間は国内外双方の財産が日本の相続税・贈与税の課税対象となる。

 

3株式保有特定会社の判定基準の見直し

非上場株式の評価に関して、評価対象会社が保有する株式及び出資の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社の場合、「株式保有特定会社」として、特別な評価方法が取られます。

 

 

4相続税の物納に充てることができる財産の順位の見直し

投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等が加えられて、これも第1順位に加えられた。

 

Ⅴ国際的な税制改正のポイント

1外国子会社合算税制等の総合的な見直し

「外国子会社の経済実態に即して課税すべき」との「BEPSプロジェクト」の基本的考え方を踏まえ、「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」が総合的に見直されました。

具体的には、経済実態がない、いわゆる受動的所得は合算対象とする一方で、実態ある事業からの所得であれば、子会社の税負担率にかかわらず合算対象外とされるなど、総合的に見直されました。

「外国子会社合算税制」の仕組みが下の図です。

〇外国子会社を利用しない場合、

〇例えば、日本企業が、A国の企業に貸付金をして、その利子を20受け取ります。日本企業はその20の利益が発生するのでこれに法人税が課税されます。

 

〇一方、税負担の著しく低い第三国にペーパーカンパニーを作り、そこを経由して(迂回して)本来の目的であるA国の企業に貸し付けを行い、その利子もペーパーカンパニーで受け取る。

〇日本企業グループ全体としては全世界のどこに利益をつけてもグループ全体の利益は同じ、それなら、税負担の低い第三国に利益を移しておきたいと考えてしまうんです。

 

〇このように税負担の著しく低い外国子会社を利用した租税回避を抑制するための税制です。

税負担が低く実態もなければその外国のペーパーカンパニーにつけた利益を日本の本社の利益として合算して課税する制度。

タックスヘイブンは、ヘブンの税天国ではなく、税を回避する港などの意味の「ヘイブン」です。

〇パナマ諸島、イギリス領ケイマン諸島、バージン諸島などのカリブ海の島々、米国のデラウエア州もTH。

 

パナマ文書は、大きくマスコミにも取り上げられ、テレビ雑誌本等で特集された。

パナマ文書に名前があがった法人、個人については、国税で情報を分析し調査している。

TH使っても直ちに違法というわけではない。直接課税に結びつくものは多くはないが、このようなTHを考えている会社や人は、他にもたくさん調査する項目はあるので、調査実施のきっかけにはなったぐらいのものだと思われる。

 

〇日本の大企業は比較的まじめ・・・納税は国民の義務。進んで納税し社会貢献していく責務。

〇外国は露骨・・・少しでも法の網をくぐって節税しタックスプランニングしないと、株主等のステークホルダー(利害関係者)などから経営者は無能呼ばわりされる。税は単なる「コスト」

〇ベンチャーで一発当てた企業はやばい、こういうことをすぐ考える。

国、国税、お上なんてのは全然通用しないし、いたちごっこ。

 

(1)内国法人等の所得とみなされる範囲の見直し

図です。

改正前のTHのイメージです。

〇租税回避リスクを外国子会社の外形、例えば20%のトリガー(引き金となる)税負担率や会社の実態の有無により合算対象かどうかを見極めていた。

〇トリガー税率で判断すると税負担の低い国にある実態ある会社も取り込まれてしまったり、税負担は20%を超えているが実体のない会社が見逃されてしまったりという問題があった。

〇日本の法人税実効税率より低ければグループとしてのタックスプランニングは有効になる。

2017年1月現在:財務省

 

 

改正後のイメージ

〇租税回避リスクを外国子会社の個々の活動内容により把握することとしています。

次ページをご覧ください。

改正THの全体像です。

〇ポイントは、トリガー税率の廃止です。

〇法人税の申告書の別表に外国子会社の状況を記載しますが、一義的にはどの国に現法を持っていて、そこの税率は20%未満か、そこで調査ポイントを絞っていたが、今後は使えなくなっている。税務署にとっても形式的な審査が難しくなっていると言える。

 

〇図の③、改正前は適用除外基準と言われていて、これを一つでも満たさなければ合算対象とされていたものの名称を「経済活動基準」に改められた。

中身も少しずつ会社の実態を判断するように改正されているようです。

 

Ⅵその他の税制改正のポイント

1酒税改革

(1)訪日外国人旅行者等向けに製造場で販売した酒類に係る酒税の免税制度の創設

地方創生の推進や日本産酒類のブランド価値向上等の観点から、「酒蔵ツーリズム」の魅力を高め、外国人旅行者の増加と旅行消費の拡大を目指すための制度が導入されます。

 

〇酒類製造業者が輸出酒類販売場の許可を受けた製造場において、外国人旅行者等向けに販売した酒類については、酒税を免税とする制度を導入する。

〇酒税を免税で販売することができるのは、平成29年10月1日からですが、許可申請書の提出は、4月1日からスタートしています。

 

(2)税率構造及び酒類の定義の見直し

類似する酒類間の税率格差が商品開発や販売数量に影響を与えている状況を改め、酒類間の財負担の公平性を回復する等の観点から、ビール系飲料や「醸造酒類」の税率格差の解消、「ビール」の定義拡大など、酒税改革が行われます。

具体的には次ページ記載の通り10年をかけ、3段階に分けて、税率構造の見直しが図られ、また、ビールなどの酒類の定義の見直しが図られることとなりました。

 

66ページ図

ビール系飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル)の税率について、平成38年10月1日に、1㎘当たり155,000円(350ml換算54.25円)に一本化する。

これにより、

・「ビール」の税率現行1㎘当たり220,000円(350ml換算77円)は、価格比でみて戦後最低水準に引き下がり、国際的にそん色ない水準になる。

・他方、特に「新ジャンル」の税率(現行1㎘当たり80,000円(350ml換算28円)が引き上がる。

消費者負担が急激にならないように3段階での税率見直しとなっている。

第1回目は、平成32年10月。

 

ビール系飲料以外の「その他の発泡性酒類」(いわゆるチューハイ等)の税率(現行1㎘当たり80,000円(350ml換算28円)については、果実酒など他の酒類とのバランスやアルコール健康障害対策基本法のもとでの不適切飲酒の誘因防止の取組も踏まえ、1㎘当たり100,000円(350ml換算35円)に引き上げることとし、酒税の税率構造の見直しが完成する平成38年10月1日に実施する。

 

醸造酒類については、税負担音公平性の観点から、「清酒」(現行1㎘当たり120,000円)と「果実酒」(現行1㎘当たり80,000円)との間の税率格差を解消することとし、平成35年10月1日に税率を1㎘当たり100,000円に一本化する。税率見直しは2段階に分けて行い、第一段階は平成32年10月1日に実施する。

 

 

2仮装通貨に係る課税関係の見直し

従来、仮装通貨の譲渡は、消費税の課税対象とされていた。

ビットコイン等が想定されていなかった。

諸外国の課税事情も考慮し、法律上、仮装通貨が支払い手段として位置づけられ、仮装通貨の譲渡が消費税の非課税とされた。

 

3車体課税の見直し

エコカー減税、グリーンカ特例が2年間延長されています。

 

4災害関連税制

 

5国税犯則調査手続きの見直し

経済社会のICT化(インテリジェンス、コミュニケーション、テクノロジー)の進展に伴い、脱税事件もより複雑化している。しかし、国税犯則取締法は昭和23年の改正以降ほぼそのままとなっていたため、今回見直しされた。

現在の経済状況に即した手当がされている。

 

6その他

(1)国民健康保険税の減額の対象となる所得基準の見直し

 

(2)上場株式等の配当等に関する課税方式選択

総合課税、申告不要、申告分離課税の3種類からの選択

この点で、所得税と住民税で異なる課税方式を選択できることが法令で明確化された。

 

総合課税を選択した場合、配当控除を適用できるが、配当所得が総所得に含まれる結果、刻印健康保険料の算定に影響することが留意点です。

 

 

 

 

まとめ

〇国の成長力の底上げのため「一億総活躍社会」というスローガンを掲げ、

老若男女みんな働け!と、就業調整しなくていいように配偶者控除を見直しつつ、

高所得者、富裕層にはますます厳しい税政策をとり、

 

〇経済の好循環を促すための、研究開発への投資、設備への投資、賃金上昇に対する措置をとり、

 

〇酒類間の税負担の公平ということで、酒類改革を行ったというのが、平成29年度の主な内政内容でした。

2016年度税制改正大綱のポイント

(引用:2015年12月11日日経新聞)

 

⤴増税 ⤵減税

○企業法人税法人実効税率引き下げ ⤵

現 在:32.11%、16年度:29.97%、18年度:29・74%

 

○外形標準課税 ⤴

 ・法人実効税率引き下げの主力財源として拡大
 ・中小企業は対象外 

 

○役員報酬の税優遇拡大 ⤵

 ・16年度から企業統治の体制整備を条件に「株式報酬」や「ROE連動型」も認める 

 

○企業版ふるさと納税創設 ⤵

 ・暮らし消費税軽減税率制度

 ・17年4月の消費税増税時の導入
 ・対象品目最終調整中 

 

○所得税市販薬購入の負担を軽く ⤵

 ・年間購入額が1万2千円を超えると、課税所得から差し引く

 

○3世代同居の改修負担軽減・改修費に相当する住宅ローンの年末残高から2%を5年間、税額控除⤵

 

○空き家の売却促進旧耐震基準で建てた家や土地を相続して原則3年以内に売却すると税優遇⤵

 

○自動車購入時の新税17年4月から自動車取得税に代わり導入
 燃費性能に応じ課税し、実質減税⤵

 

○耕作放棄地の固定資産税見直し一定の条件のもと、耕作放棄地の課税が1.8倍に⤴

 

《法人実効税率の引き下げ》

【POINT】

○1兆円規模の減収

○収益力のある企業の負担を減らし投資や賃上げを促す

○法人税は利益から払うので稼ぐ企業(利益を上げる企業)ほど有利な税制

○一方、代わりに増税となる外形標準課税は赤字企業の負担を増大させる

《消費税の軽減税率》

【POINT】

○2017年4月の消費税10%への増税時に導入

○酒と外食を除くすべての飲食料品は8%に据え置き

 菓子、飲料を含む加工食品に広がった。

○軽減税率というより「据え置き課税」

○トイレットペーパーや化粧品など日用品の税率は10%へUP

○はっきりしない品目(出前、イベント会場での飲食販売、飛行機の機内食・・・など)

○事業者の3つの経理方式

  インボイスの導入は21年度から

  それまでは、①簡易型インボイス方式

          ②みなしの納税

          ③免税

○事務負担、システム投資負担が増加する

○対象外の「外食産業」は落胆、コンビニの弁当にお客が流れる懸念

○「一物二価」・・・同じ商品でも店内飲食(10%)とテイクアウト(8%)で税率が変わる?

《外形標準課税》

【POINT】

○法人実効率の引き下げによる財源確保、8千億円程度をねん出

 (残りの2千億円は、政策減税の縮小で穴埋め)

○増税となる外形標準課税は赤字企業の負担を増大させる

 (資本金1億円以下の中小企業は引き続き対象外)

○法人事業税の外形課税を67%程度増税

《車体課税の見直し》

【POINT】

○自動車取得税の廃止(17年4月1日)

○自動車税及び軽自動車税に環境性能割を導入

○自動車税のグリーン化特例(新車購入者の翌年度の自動車税を減税)を1年間延長

 

《住宅・土地税制》

【POINT】

○「空き家」にかかる譲渡所得の特別控除の特例を創設

  16年4月1日~19年12月31日までに譲渡した場合→3,000万円の特別控除を適用

○三世代同居改修工事

  16年4月1日~19年6月30日までに居住→特別控除額の適用

 

 

《納税環境の整備》

【POINT】

○クレジットカード納付制度の創設

 17年1月以降~

○加算税制度の見直し

 調査前に出された修正申告書に基づく過少申告加算税を現行の0%から5%へ引き上げ

 期限後申告または修正申告に基づく無申告加算税を現行の5%から10%へ引き上げ

 所得隠しをくり返す者への罰則強化

  (過去5年以内に不正をした場合10%上乗せ) 

 17年1月~

○マイナンバー記載の対象書類の見直し

 一部の書類は記載不要とする

○国税関係書類に係るスキャナー保存制度の見直し

 16年9月から緩和

 スキャナーは「原稿台と一体となったものに限定する」という要件を廃止

 領収書をデジカメ、スマホで撮影し、電子データで経費精算を行い、保存。紙は破棄できる。

 

 

《金融・証券税制》

【POINT】

○少額投資非課税制度(NISA)

 18年1月から~

 非課税適用確認書の交付申請書に国内住所等を証する書類(住民票など)の添付を不要とする。

 マイナンバーでの確認に代える

 

《セルフメディケーション(自主服薬)の推進》

【POINT】

○薬局で購入する医薬品について一定額を所得控除する

 合計額が1万2千円を超えるとき、その超える部分の金額を所得から控除する

 (超える金額:8万8千円を限度)

例)

 対象医薬品を年間3万円購入した場合

 30,000円 - 12,000円 = 18,000円・・・所得控除できる。

 *所得税率が20%の場合、18,000×20%=3,600円の減税となる

 

《企業版ふるさと納税》

【POINT】

○「地方創生」の一環

○寄付額の3割分の企業の税負担を軽減する

○まず、法人事業税で1割を税額控除し、法人住民税からも納税額の2割を上限に控除する。

 それでも、寄付額の3割に達しなければ、残りを国税の法人税から差し引く

○16年度から導入

 

《役員報酬》

【POINT】

○現在は、毎月、同額の固定給であれば損金算入

○16年度から企業統治体制が整っていることを条件に

 ・自己資本利益率(ROE)連動報酬

 ・株式報酬を認める

 

 

 

 

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